コンクラーベ
2025年4月21日。
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が88歳で亡くなりました。
バチカン市国は世界で最も小さい国ですが、世界のカトリック教徒14億人のトップである教皇が世界に与える影響はとても大きいかと思います。
その教皇を選ぶ選挙を、教皇選挙「コンクラーベ」と言い、全カトリック教会の最高司祭たるローマ教皇を枢機卿による投票で選出します。
コンクラーベは教皇の死後(辞任後)、15日~20日の間に開かれます。
この度のフランシスコ教皇の死去を受け、今年5月7日、次の教皇を決める選挙・コンクラーベが、バチカン市国にあるバチカン宮殿内のシスティーナ礼拝堂で、世界中から集まった133人の枢機卿が参加して行われました。
投票権があるのは現在80歳未満である135人の枢機卿。枢機卿は、教皇に次ぐ高位の聖職者として、教皇の顧問、補佐、教皇庁の運営、そして教皇選挙において中心的な役割を担っていると言えます。 その権限は、教皇選挙権、教皇庁要職への任命権、そして教会運営への関与など多岐に渡ります。
投票の際は、枢機卿以外の関係者は退出。礼拝堂の扉に鍵を掛け、投票は非公開で行われることから、ラテン語で“鍵を掛ける” = 「コンクラーベ」と呼ばれるそうです。
選挙では参加者の誰かが3分の2以上の票を得るまで、投票は毎日繰り返されます。決まるまでは全員が宿舎に泊まり込みますが、この間外部との接触を一切断たれます。連絡は徹底的に遮断され、携帯電話やパソコンの使用は禁止。通訳や食事の世話をする人々にも「沈黙を守る」との制約が義務付けられ、徹底的に外界と遮断されます。そこでは枢機卿同士による多数派工作も行われるともいいます。
投票が終わったあと、投票用紙はストーブで焼かれますが、当選者がいなければ煙突から「黒い煙」を出します。そして新たな教皇が決まれば、「白い煙」を出して合図をします。
そして2025年5月8日午前11時51分、コンクラーベの2日目、午前中の投票の結果を知らせる煙がシスティーナ礼拝堂の煙突から上がり、第267代教皇にレオ14世が就任なされました(アメリカ出身の教皇が誕生するのは初めてです)。

前フランシスコ教皇は貧困や気候変動などの問題に取り組み、各地で続く紛争の平和的な解決を求めたほか、日本の被爆地を訪れて核兵器の廃絶も訴えました。さまざまな新しいことへの改革に手をつけられ、歴史に残る偉大な教皇だったのではないでしょうか。
対立や紛争が相次ぎ、国連の機能不全も指摘される中で、バチカンという通常の国家とは異なる存在のトップが、国際社会で果たす役割に期待が寄せられている状況ともいえます。
国際情勢が厳しさを増す中で、新教皇・レオ14世が、どのような行いをするのか、どのような方向へ歩もうとするのか、今後の動向に注目が集まります。
さまざまな情報が錯そうするコンクラーベ。
世界中が注目するからこそ、この選挙を題材にした作品が数多く作られ、ちょうど今年、ハリウッド映画『教皇選挙』の公開があり、先のアカデミー賞でも注目されました。
教皇選挙を題材に描くミステリーで、アカデミー賞を受賞している評価の高い作品ですが、この映画で描かれるコンクラーベは、「神聖な選挙」というよりも、どこかの国の、どこかの政党の総裁選挙のような印象のようで、
はっきり言えば、権力と欲。
映画にあるように、あからさまな票のとりまとめとか、『これは戦争だ』と意気込んでみたり、いろいろと画策したり、生臭い話は残念ながらフィクションのようです。
これとは別にだいぶ前になりますが、2009年に公開された、トム・ハンクス主演『天使と悪魔』。こちらは、2006年のヒット映画『ダ・ヴィンチ・コード』の続編となり当時注目を集めました。
教皇を決めるコンクラーベを行うバチカンを舞台に、主人公ラングドン教授が秘密結社“イルミナティ”の秘密と謎を暴く壮大な歴史サスペンスが展開される物語で、当時映画館で観て、フィクションではありますが、世の中にはこんな裏の話があるんだなと、知ってはいけない真実を知ってしまった笑。と大変興味深い内容だったと感じた記憶があります。
興味のある方はぜひご覧いただければと思います。
かずやコスメディア 上原