神饌(しんせん)
私の実家には神棚と仏壇があります。田舎の家なので、毎朝神棚と仏壇に炊き立てのご飯をお供えしていました。お米は、神道・仏教どちらにおいてもとても大切なお供え物になります。我々日本人には無くてはならないものでもあります。先日神道の告別式を担当する事があり、お供え物を準備する事がありました。お供え物は神社ごとに若干の違いはありますが、お米は必ず準備をします。

神道のお供え物を「神饌」といいます。神饌は飲み物と食べ物で大きく2種類に分類されます。飲み物を水・酒。食べ物は和稲(籾を除いた米)・荒稲(籾つきの米)・飯・粥・餅・海魚・川魚・貝・水鳥・野鳥・海菜・野菜・果実・菓子・塩が使用されることが一般的です。全てをそろえるのではなく、祭事ごとに準備する数や物が違ってきます。そしてこれらの中で特に外せないものが米、塩、水の三種類です。

神饌の由来は、神道の「神人共食」という考えに由来し、人間が神様と同じものを食べる事によって一体感を感じる事が目的とされています。そのため、祭事後に直会(なおらい)でいただく事が一般的です。
毎朝習慣でお供えしていたお米は、神道に置いて特に重要なお供えものですが、お供えしたあとに祖母はお供えしたお米を食べていたことを思い出しました。お供えしたものを食べる事により、神様と人間との一体感を祖母が感じていたかは今となっては定かではありませんが(おそらくもったいないが根底にあったとは思いますが)、祖母が行っていた「神饌」を食する行為は神道の教えにのっとったものだったようです。私の中では子供ながらに『神様の物を食べてもいいのかなぁ』と思っていたので、祖母が間違っていなかったことが分かってホッとしました。
実家では私の両親が今も神棚と仏壇にご飯をお供えしています。
かずやコスメディア 東 利廣