日本の仏教『13宗派』ざっくり解説
日本に伝わる仏教、その数ある宗派をどれくらいご存じでしょうか。
世界三大宗教の一つである仏教は日本に伝来して以降、約500年かけて独自に発展し様々な宗派が生まれました。
例えば『浄土真宗』や『日蓮宗』『黄檗宗』など様々で教え信仰する仏や葬儀の仕様も異なり意外と特色があっておもしろい。
自分の家の宗派は知っていてもどんな教えなのか?
知らない人も少なくないのではないでしょうか。
そんな13宗派を日本で開かれた歴史順にざっくり紹介していこうと思います。
まずは13宗派の中でも最も歴史が古い奈良時代に開かれた宗派からの紹介平安時代に平城京を中心に『南都六宗』が栄えました。
『三論宗』『成実宗』『法相宗』『俱舎宗』『華厳宗』『律宗』中学の歴史で習って高校受験のために必死で暗記した方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、合併や色々あり現在では十三宗派に数えられているのは法相宗・華厳宗・律宗の三宗派だけになりました。
それでは、今回は13宗派の中で最も古い法相宗についてお話します。
➀ 法相宗 『この世のすべては心が作る! 心の究明者』
法相宗は、遣唐使の道昭(どうしょう)という僧が奈良時代以前に唐から持ち帰りました。
総本山は奈良県の『興福寺』や『薬師寺』また、清水の舞台で有名な京都の清水寺は法相宗から独立した『北法相宗』の総本山です。
開祖の道昭は653年に唐に渡り一人の僧侶に出会い弟子入りします。
その僧侶とはだれもが知っている西遊記に登場する有名人『三蔵法師』正式には『玄奘』に弟子入りして、教えを学び、法相宗の根本聖典とされる成唯識論を持ち帰りました。

帰国後は全国を巡り井戸や橋などを作ったり薬師寺の講師をしたりしました。
その後73歳で亡くなり荼毘に付されますが、これが記録では日本最初の火葬だったとされています。
さて、法相宗の教えの中心は『唯識(ゆいしき)』という考え方で『この世のすべては心の現れ』となんだか難しく哲学的な教えです。
唯識とは読んで字のごとく、ただ(唯)心(識)が存在するという事で私たちは身の回りにある物がその場所に存在すると考えています。
では、認識できないものがあったとしたらどうでしょう?
家族や恋人、スマホや車など見たり触れたりし認識できるからこそ、それは『存在している』しかし、逆に認識できないものは存在していないと同じ意味になります。
例えば、『妖精』がいるかいないかは、認識できないからわからない、なので『妖精』はいないと言えるという事です。
唯識の理論では、身の回りにある『物』とは私たちの認識にもとづく主観的な存在であって客観的には存在しないと考えます。
そのためそれらの存在は私たちの心によって生み出される『無常』であり実態のない『空』である、存在するのは ただ(唯)心(識) だけである。
なかなか、凡人には理解が難しい話ですがざっくり言うとこのような感じです。
そして、心(識)は八つに分けた八識(はっしき)という無意識の上に意識が存在するというピラミッドのような構造を考えるのです。上から
㊤一番上には味覚や触覚などの五感『前五識』と意識にあたる『第六識』
㊥その下に、五感や意識を生み出す潜在意識にあたる『末那識(まなしき)』
㊦最下層にはすべての職を生み出す『阿頼耶識』がある。

そして、識の中でもこの阿頼耶識について深く理解・探求し虚像から脱して悟りを得ようと追及していくのが法相宗なのです。
ちなみに、Googleで『阿頼耶識』と検索すると『阿頼耶識システム』と検索候補が出てきます。
検索してみると機動戦士ガンダムシリーズに登場するインターフェースシステムでモビルスーツをより直感的に操作できるようになるという設定だそうです。
また、検索候補には阿頼耶識・シャカとも出てきます。これは、聖闘士星矢のキャラクターでお釈迦様ではありません。
近年では、アニメや漫画にもこういった仏教や宗教由来の設定や考えがよく見るように感じます。
法相宗は布教や宗教儀礼よりも、教理の追及を重視する宗派です。その為、信仰や布教の為の儀礼はせず、葬儀も他の宗派で行われるそうです。
菩提寺や檀家も持たないそうなので、まさに『教理と心の究明者!!』なんだか中二病をくすぐるカッコよさを感じます。
以上、個人的な見解も含めた法相宗について簡単な解説になりました。
興味のある方はより深く調べてみてはどうでしょうか?
皆様の今までの考え方にも少しでも変化と充実があれば幸いです。
かずやコスメディア 東政哉