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2023.07.26コラム

念ずれば花ひらく

苦しいとき

母がいつも口にしていた

このことばを

わたしもいつのころからか

となえるようになった

そうしてそのたび

わたしの花がふしぎと

ひとつひとつ

ひらいていった

 

 こちらの詩は仏教詩人である坂村真民(さかむらしんみん)師の代表作の一つであり、よく引用もされる為、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

 

 時宗の開祖である一遍上人の生き方に共感し、癒しの詩人と言われる坂村真民師は、熊本県荒尾市のご出身。かずや本社があります玉名中学校(現在の玉名高校)を経て、三重県にある神宮皇學館(現在の皇學館大学)に進み、朝鮮に渡られた後、愛媛県砥部町にて国語教師として教鞭をとりつつ詩作に打ち込まれたそうです。

 

現在ではこの詩を愛した有志により、母校である玉名高校の校庭をはじめ国内外の様々な場所に詩碑が建立されています。

 

 この詩の「念ずれば花ひらく」とは、ただ念じることで願いが叶うということではありません。曹洞宗の開祖である道元禅師の言葉に「花開けば必ず真実を結ぶ」というものがあります。この言葉は、求道の心を起こせば必ず悟りを結ぶことができるという意味ですが、言い換えれば何事も一生懸命取り組めば必ず成果を得ることができるということかと思います。坂村真民師の詩と併せれば、「念」とは文字通りいつも心にあり、目標を叶える原動力のこと。目標という種を蒔き、水や肥料を与える様に努力し、やがて成就という名のきれいな花が咲き実を結ぶ、坂村真民師、道元禅師ともに、何事も一生懸命努力することで夢や目標が叶うということを伝えたいのではないでしょうか。

 

 葬儀の際、大小様々なたくさんのお花に囲まれる故人様を目にする度に両師の詩や言葉が思い浮かび、たゆまぬ努力を重ねた結果たくさんの花を咲かせた生涯だったのではないかと思いを馳せるばかりです。プランニングから司会進行と、故人様の最期に携わさせていただく私自身、日頃より努力を惜しまず「念ずれば花ひらく」の気持ちで今後も誠心誠意、努めて参りたいと存じます。  合掌

 

かずやコスメディア 田中丈詠


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