お知らせ

2022.05.4コラム

この度はお仏壇の装飾品である『仏具』についてご紹介をさせていただきます。

 現在では住宅事情も以前と異なり、伝統的な形状のものだけではなく、お仏壇のデザインに合わせた現代的なお仏具も増えてきております。ただ、お仏具は日用品や飾り付けるだけの物ではなく、宗教儀式に用いる重要な意味を持ったお道具である為、ご用意いただく際には注意が必要です。

 

 

仏具の種類

ここではお仏壇の荘厳(しょうごんと読み、飾り付けを指します)に必要となるお仏具を、一部ではありますが個別にご説明をさせていただきます。

 

  • ご本尊

お仏壇の荘厳の中で最も重要とされている仏像・掛軸となり、お仏壇の中心となる場所にお祀りします。各宗派によりご本尊は異なり、形状の確認、場合により本山よりご本尊を賜るなどの定めがある為、まずは所属寺院へご相談をいただく必要があります。

 

  • 脇侍(きょうじ)・脇掛(わきがけ)

ご本尊の両脇にお祀りする仏像・掛軸となり、ご本尊同様、宗派により種類は異なります。

 

  • 位牌・過去帳

形状は様々ですが、ご先祖様の依代、またはご先祖様を記したお仏具です。詳しくは以前UPさせていただいた『お位牌について』の記事をご参照ください。

 

  • 五具足(ごぐそく)・三具足(みつぐそく)

お参りいただく際、基本的に必要となるお仏具である花立(花)・火立(ローソク)・香炉(線香)はご用意いただく数に定めがあり、年回忌など節目となる際のお参りは五具足、普段のお勤めは三具足を用います。

五具足・・・中央に香炉、両端に花立を一対、香炉と花立の間に火立を各一つ配置し、五つ一組で五具足と呼びます。

三具足・・・中央に香炉、左側に花立、右側に火立を配置し、三つ一組で三具足と呼びます。

どちらも同じ壇(卓・机)に配置し、例えば香炉を下段、花立を上段などの配置は好ましくなく、基本は横一列に並べます。(宗派・寺院などにより異なります)

・花立・・・お仏壇に供えるお花を生けるお仏具です。金属製や陶器製など材質や形状は様々。

・火立・・・ローソクを立てるお仏具です。花立同様、様々な材質や形状があります。

・香炉・・・お線香用のお仏具となり、机上香炉と呼ぶこともあります。宗派によりお線香を立てずに寝せて焚くお作法もある為、お線香を折る必要のない長方形型の香炉もあります。また、お線香を使用しない抹香を焚く蓋付の香炉もあり、宗派により机上香炉と使い分けて使用することもある為、個別にご用意いただくこともあります。

※各宗派・各寺院により定められた形状など異なることがあります。一部例・・・浄土真宗 本願寺派は宣徳・菖蒲型と呼ばれる具足を用い、香炉は土香炉と呼ばれる青磁丸型となり、大谷派では鶴亀と呼ばれる燭台が印象的ですが彫りの有無も様々な具足を用い、本願寺派同様に土香炉と呼ばれる透かしの入った青磁円柱状の香炉となります。浄土真宗以外でも宗紋の入った五具足を用いることが好ましいなど定めがあるようです。

 

  • お鈴(鏧子(けいす))・木魚・木柾

鳴物は基本的にお鈴のみでよろしいですが、宗派により木魚などを揃える必要があります。木柾は基本的に日蓮宗で用いられるお仏具です。ご使用にはそれぞれに鈴棒(りんぼう)・撥(ばち)・棓(ばい)が必要となります。

お鈴には必ず鈴布団と鈴台を併せてご用意いただく必要があり、お鈴と同様に宗派に合わせて形状が定められていることもあります。(例、真宗大谷派では、よく見る丸布団は用いず、雲輪または金襴輪と呼ばれる円輪状のお仏具をお鈴と鈴台の間に敷き、鈴台は四角型が好ましいとされています)

 

 

  • 高坏(たかつき)・供笥(くげ)

お供物の器になります。お供物を盛り付ける際は白紙を敷かれると丁寧かと思います。左右一対が多いようですが数に決まりはなく、場合により器を分けてお仏壇の外にお供えいただいても結構です。

浄土真宗では供笥を用い、決まりではありませんが主流では本願寺派は六角型・大谷派は八角型が好ましいとされており、ご購入の際はご寺院様・仏具店にお尋ねになられると安心です。※本来、供笥はお華束(おけそくと読み、丸餅を重ねた物)を盛る器となり、お華束以外を供える際は段盛を供笥に重ねて用います。

 

 

  • 仏飯器・茶湯器

ご飯・お茶・水(白湯)の器となり、多くは仏飯を中心に、その左右にお茶・水(白湯)を各一つずつお供えされますが、その両脇にあるお供物の内容により、果物側に白湯、落雁などの砂糖菓子側にお茶と、左右の配置を合わせられると丁寧なように思います。

各お供えの器はそのまま置かずに長手膳や仏器台、茶湯器台などを用います。

宗派によりお供えいただく数や内容に定めがあります。一部の例ですが、浄土真宗ではお茶やお水はお供えしません。花瓶(けびょう)という徳利状の仏具に樒や杉、松の葉をお水と共に供えます。仏飯の盛り方にも決まりがあり、本願寺派では『蓮のつぼみ』の形を表し丸く盛付け、大谷派では『蓮の実』を表すように盛槽(もっそう)という仏具を用いて円柱状に盛付けます。仏飯器の数は華瓶卓の有無や本尊の具合により様々となります。ご不安な場合は宗旨問わず、所属のご寺院様へお尋ねになられることをお奨めします。

 

  • 霊供膳(りょうぐぜん)

地域により陰膳(かげぜん)とも呼び方は様々ですが、ご供養の節目となるご法事やお彼岸などに供えられる小型の本膳、一汁三菜を供える仏具となります。浄土真宗以外の宗派で用います。詳しくは以前UPさせていただいた『霊供膳と陰膳』の記事をご参照ください。

 

 

  • 常花(じょうか)

蓮の形を模した造花になり、材質は木製やアルミ製から紙製と様々です。見た目は金箔仕上が一般的ですが、彩色仕上が好ましい宗派もあるようです。浄土真宗では使用しません。

 

  • 灯篭・灯籠(とうろう)

ご本尊、またはお仏壇の内部を照らす仏具です。大きくは吊り型・置き型の二通りの種類があり、宗派により、形状含め好ましいとされる灯篭に違いがあります。浄土真宗では置き型は用いない他、輪灯(りんとう)と呼ばれる輪がついた油皿を吊るす金属製の仏具を、灯篭と併せて使用します。今はどちらも火を使わずにLEDや豆電球を使用される家庭がほとんどです。

 

  • 幢幡(どうばん)

主に金箔や瓔珞で装飾された竿状の柱に帛を垂らした本堂用のお仏具ですが、ご家庭のお仏壇にもお飾りいただけます。旗を由来とする、仏様の象徴やご威徳を示す荘厳具のこととされています。浄土真宗では使用しません。

 

  • 経机(きょうづくえ)・経卓(きょうじょく)

浄土真宗では経卓と呼称いたしますが、基本的に文字通りお経本を乗せる机となります。五具足などを置かれる為の机ではありあせんので、お仏壇まわりのスペースに余裕があれば、経机と別に前机・前卓をご用意されると丁寧なことかと思います。

 

  • 打敷(うちしき)

主に前机・前卓に掛ける布状のお仏具です。基本的に常日頃より掛けておかれる必要はなく、ご法事など節目となる際、またはご住職がお参りにおみえになられる際に掛けて使用いたします。前机・前卓のご用意がない場合は五具足(三具足)を置かれている場所(例、お仏壇の下段の棚など)にお掛けします。(※経机にはお掛けしません)

宗派により形状が異なり、浄土真宗では三角状、浄土真宗以外では四角状の打敷を使用いたします。ご家庭でご不幸があった際は、多くの打敷は裏地が白布の作りの為、忌明けまでを目安に打敷を裏返し白面を表として使用いたします。

 

 

 以上、お仏壇をご荘厳する際に用いる、代表的なお仏具を一通りご紹介させていただきました。

上記の他に、お珠数(念珠)掛けやローソクの火消しなどあれば便利となるお道具や、ご紹介できていないお仏具もございます。お仏壇やお仏間などサイズやスペースに合わせて必要となるお仏具は様々異なり、所属寺院によってはご用意いただきたいと考えられえるお仏具は異なることもある為、ご購入前にご寺院様へご相談いただかれるとご安心のことと思います。

お仏壇と同様、お仏具もお参りやご供養に必要となる宗教用具です。長くご使用いただく物ではありますが、好みやデザイン優先ではなく、各お仏具にどのような意味があるのか改めてお考えいただくことで、お仏具の必要性も見えてくるのではないでしょうか?

一番大切なのは故人様やご先祖様を敬い、手を合わせるお気持ちではありますが、今後のご供養の際にこの記事が皆様のお役に立てれば何よりです。 合掌

 

かずやコスメディア 田中丈


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